契約書に関するお話~契約書作成の際の注意点

こんにちは。毎日暑い日が続きますね!

さて、、、、契約書に関するお話第二弾をです。

今回のテーマはタイトルのとおり「契約書作成の際の注意点」です。

原則として契約書の内容、形式は基本的に自由です。しかし、前回も述べたとおりけ契約書の意義は「当事者の合意内容の証拠」であることから次のことが重要になります。

①当事者の合意内容が明確に記載されていること

②変造が防止されていること

上記①②を実現するために具体的な事柄を考えていきましょう。

● 契約当事者と締結権限の確認

契約締結後、「こんな契約は知らない」「この契約は自分が結んだものではない」等でトラブルになるケースは少なくありません。このようなことがないようにするのが当事者と締結権限の確認です。

相手方が自然人の場合は原則として、契約締結権限があるのは本人ですから、本人が契約書に記名押印していることを確認します。

次のような方法がありますが、どこまで行うかは事情次第で判断するのがよいでしょう。

①実印の押印と、市区町村の印鑑証明で確認します。実印を押してあると、その実印の所有者本人が押したものと推定され、更に本人が契約書の内容を理解して押印したものと法律上推定されます。

②運転免許証などの身分証明書で本人確認します。名刺は個人が自由に作れるので、あてにしてはなりません。

③関係者に電話してみたり、雑談の中で本人でなければ答えられないような話を聞いてみたりと工夫を凝らして確認する必要な場合もあります。代理人が契約締結を行う場合は代理権限が間違いなく与えられているか確認するために、本人が代理人に出した委任状について、実印と印鑑証明書の確認を行います。

状況、内容により臨機応変に対応することにしましょう。

相手方が法人の場合は、原則として、契約締結権限があるのは、法人の代表者です。法人の代表者の権限に基づいて契約締結が行われているかは、会社代表者の登記所登録印の押印と登記所発行の印鑑証明書との照合で確認します。この場合も、会社代表印と、その代表者が押したものと事実上推定され、更に内容を理解して押印したものと事実上推定されます。

ただし、実際は法人の代表者がことある毎にいちいち契約書に押印することは無理ですね。通常は支店の長や関係する事業部の長などの担当者が行う場合が殆どだと思います、その際代表者名と代表者印

で行われるか、あるいは担当者名と担当者印で行われるかでは意味が異なります。

代表者印での調印するときの担当者は、法律上「使者」にあたります、「お使い」と考えて頂ければ良いと思います。この場合は代表者が使者に対して調印のため託していることで、代表者の調印意思が推定できます。

これに対し担当者印で調印するときは、担当者は法律上「代理人」となります。先程の自然人の箇所で述べたように代理権の証明をしてもらうことが必要になります、しかし実務上は、いちいち代表者の印鑑を契約書、委任状に押すのが難しいから担当者が出てきてるのであり代理権限の確認は難しいです。どこまで確認が必要かは、個々の案件により、契約締結の経緯などからその場その場で判断していくしかありません。

● 調印形式

契約書の調印形式は次のようなものが考えられます。

① 双方調印

② 片方調印

③ 基本契約のみ調印し、個別契約は調印しない所定の通知方法で成立

どのようあ調印形式をとるかは、当事者が契約に基づき将来的に負う義務がどれだけ重いか、定型的な書式となっている契約書であるか、押印手続の負担等を考慮し判断する必要があります。

例えば、金融機関で使うビジネスローンなどの定型的な商品となっている融資契約は、殆ど借入人のみ押印する差し入れ形式です。これは、金融機関側は、お金を渡してしまえば将来的に負う大きな義務が残らないし、多数の融資先との間で定型的な内容と事務手続で融資をしているから、それらに基づいていれば金融機関側に契約への意思があることはほぼ明らかです。一方借入人は返済とおい重大な義務を負うわけですから、厳密に代表者印が求められるのです。これに対し金融機関で使う融資契約でも、額が巨大であり契約書もオーダーメイドのされるものは、発生する権利義務の大きさや、内容が個々の契約で異なってくることから、双方調印形式でなされます。

継続的に商品を売買する場合などに用いる継続的取引基本契約では、上記③の形式を用いることが多くあります。

又、最近ではFAX、電子メール、インターネットでの注文フォーム等、調印を必要としない形式もあります。契約書と呼ぶかどうかは定義上の問題であり、ビジネス実務上では契約書の一部だと考え注意を払って取扱うことが必要です。

 

● 内容の定め方

何回も言いますが、契約書は当事者の合意内容が明確にされていることが必要です。第一に合意内容が必要十分であること、第二に合意内容が適切なものであること、第三に合意内容が明確であることです。

ではまず第一の合意内容が必要十分であることとはどういうことか、からです。

① 契約が問題なく履行される場合の権利義務の内容

② 契約履行に問題が発生した場合の処理

③ 契約書そのものに関する処理などその他の事項

と大別されます。①及び②で何を定めておくべきかは、その契約書に基づく相手方との関係の中で、将来どのような事態が起こり得るのか、それがどのくらい重要な事態に発展するのかを予測して考える必要があります。このため、契約書の作成は、自己及び、相手方の事情や取引を取り巻くビジネス上の環境の知識と、法律的知識を融合して行う作業です。書式集をそのまま使ったり、専門家に丸投げではいい契約書は作成できません。必ず当事者側で、その契約を取り巻く具体的な状況についてよく検討し、契約書がそれに対応できているかをチェックしましょう。専門家などに依頼する場合でも、契約を取り巻く具体的な状況をよく説明し理解した上で依頼することをお勧めします。

次に第二の合意内容が適切なものであることとはどういうことかです。

原則、契約内容は当事者が自由に定めることができるのが原則ですが、次の項目に抵触すると契約は無効になります。

① 強行法規に違反した場合

② 公序良俗に反した場合

強行法規とは、それに反する当事者の合意をすることが許されない法律上の規定です。強行法規であるかどうかは、法律の各条項の内容によって決まってますが、ひとつひとつ確認する必要がありますが、およそ強行法規の代表的なものとしては、

○ 各種業法など、公的規制を及ぼす必要があるもの

○ 労働法制や借地借家法など、契約当事者間の力の差がある契約について弱者保護の施策を法律で定めているもの

○ 会社法・各種登記法・各種知的財産法など、手続や権利内容がルール化されているもの

があります。これらに反する契約を作成すると、契約は無効になり、場合によっては刑事罰や行政罰の対象となることもあるので、十分に注意してください。

公序良俗とは皆様も耳にしたことはあるかと思いますが、要するに社会の一般秩序を維持するために要請される倫理的規範のことです。個別の法律がなくとも一般的に公序良俗違反の行為は無効であるとされます。では何が公序良俗違反なんだ!というと説明するのは極めて難しいですが、あまりに公平性を欠いたり、過剰な負担を強いたり、違法な行為の存在を前提にするものであったりする条項があると公序良俗違反となり無効となります。

続きまして、第三の合意内容が明確であることとは、、、

契約書は合意内容の証明書ですから、何を合意したのかが明確に記されてないとなりません。

ポイントは2つです。

① 契約中に示される物、権利、他の契約などを、特定すること

② 日本語が正しく使用され、意味が一義的に定まっていること

①の特定いついては、合意内容を明確にする目的としては、要するにある物や権利が契約の対象に含まれているのか含まれないのかの判断ができる線引きの基準が、はっきり書かれていればよいのです。但し、その契約書を使って不動産登記をしたり強制執行をしたりする場合には、それぞれの手続上のルールとして要求されている記載方法で特定されていないと、手続に用いることができない場合がありますので、あらかじめ注意が必要です。

不動産は、登記簿の表示の記載のとおりい書いて特定します。登記簿に表示される不動産の地番や建物番号と行政上の取り扱いのために定められる住居表示は多くの場合異なり、後者は原則として不動産の権利関係を特定するのに用いるのは不適当ですから、注意しましょう。

債権などの権利の特定は、次のような要素を組み合わせて行います。

○ 発生原因

○ 当事者

○ 対象者

○ 権利の種類

他の契約書を引用するときは「平成〇年〇月〇日付乙丙間の〇に関する売買契約」というように、契約者、当事者、対象物、契約名などによって特定します。

次に②は、当たり前の話のようですが、以外と多く、争いになるケースはこの点に問題があることがあります。実際、日本語を用いて文章の意味を完全に一義的に定めるのは、なかなか高度な技術を要します。契約書作成の際には具体的によく読んで他の意味にとることができないかを検証することが重要です。

● 作成通数

原本、写しともに作成通数に決まりはありません。

実務上

① 契約当事者全員の数の原本を作成し、各契約当事者が1通ずつ保管する。

② 契約当事者のうち、中心的な者の数の原本を作成し、当該当事者が1通ずつ保管する。他の当事者は、必要に応じて写しを保有する。

③ 1通のみ原本を作成し、権利の証明のために最も必要の高い者が保管する。他の当事者は、必要に応じて写しを保有する。

②及び③は、原本について納付義務のある印紙税を、原本の数を減らすことによって節税することを主な目的としてなされることが多いですね。

写しについては、原本の保管者または写しの作成者が、「上記は原本の真正な写しに相違ありません」との文言と作成日を記載し記名押印をし、原本証明をしておくと良いでしょう。

●文字の記載及び訂正方法

いったん作成された契約書の記載を訂正するときの方法は、2種類あります

① 誤記の文字を線を引いて消し、隣に正しい文字を書き、欄外に「〇文字削除、〇字加入」と記載して、その記載箇所に作成者全員で押印する方法

② 誤記の文字を線を引いて消し、隣に正しい文字を書き、その上に作成者全員で押印する方法

①の方法が正式です。訂正は、権限のある者が訂正したことがわかるように、また後の紛争に備えて消した前の文字が読めるように行うことが原則で、後者の観点から①の方法が良いですね。

いわゆる捨印は、後に誤記が発見された場合に①の方法による訂正を行うのに備えるために押印するものです。実務上はこれがあることで非常に助かる例も多いですが、悪意があると予期せぬ改ざんに使われる可能性があります。相手をよく見て判断することが必要です。

● 文書の一体化

契約書が複数枚に渡るときは、ページの紙ごと差し替える方法による変造を防止するため、文書を一体化する必要があります。別紙や、契約書本文内で添付書類として引用した書類も、契約内容を表示した部分であれば一体化の対象になります。

① 綴目の両側に渡るように契約を押して、ページを差し替えたら契印の不一致によりわかるようにする。

② 綴じた箇所を、剥がすのが不可能な紙やテープで糊付けし、その糊付け部分を破壊しないと綴じた箇所を分解してページを差し替えることができないようにする。

③ 糊付け製本して、破壊しないとページを差し替えることができないようにする。

その他、要するに紙を差し替えたらわかるようになっていれば良いのです。

● 収入印紙の貼付

契約書には、印紙税に定める印紙を貼付することが義務づけられるものがあります。印紙の貼付の必要性及び課税される場合の税率は、契約の表題からではなく、契約内容から判断されます。

課税対象となる契約書であるにもかかわらず、印紙の貼付がない場合、契約書は有効ですが、印紙税法違反となり過怠税が課されます。

● 保管

契約書は、紛争になったときの証拠なので、契約書本体はもちろんですが、できる限り関連書類も保管しておくのが良いでしょう。

関連書類には、次のようなものがあります。

① 契約成立や権利義務発生の有効要件が具備されたこと(重要な資産の処分に関する取締役議事録)や、条件が成就したことを証明する書類(監督官庁の許可が必要な場合の許可書)。

② 契約中に定められる自己の債務の履行をしたことを証明する書類(売買契約の売主側にとってお納品受領書など)

③ 契約の交渉経緯などが記されている書面(契約書の形にする前に条件を箇所書きにして確認したときのメモや交渉最中の電子メールなど)。

①や②は会社法や業法上の保管義務や、会計や税務などで必要になりますので、保存されていることが多いでしょう。関係書類の重要度は様々ですがしっかり保管をしておきましょう。

保管期間は争いが起こる可能性のある間です。損害賠償請求権、不当利得返還請求権の債権の消滅時効の期間が10年間ですので、契約関係終了後この期間は、法律的な観点からは保存しておきましょう。又、税務調査は7年間過去に遡って行われる可能性があるので、税務の観点からも保存しておくべきです。

● 契約の変更

一度締結した契約を当事者の合意で変更することはもちろん可能です。又、契約締結後い契約書の記載の誤りが見つかり変更するこもよくあります。これらの変更内容も、証拠化のため契約書に準じて書面にする必要があります。

事後の変更の場合には次のような方法があります。

① 「変更契約書」や「覚書」などを作成し変更部分を明示する方法。この場合、修正後の条項を記載し、又は修正前と修正後の条項を並記します。

② 新たな契約書をまるごとつくり直す方法。修正箇所が多い場合は、この方がすっきりします。この場合、従前の契約書の効力が切れて新たな契約書が効力を発生したことを明確にするために、従前の契約いついて合意解除する旨を、新契約書に条項として盛り込むか、別途の合意書を作成して記載しておきましょう。

当初からの誤記の場合には次のような方法があります。

① 原契約書を修正する方法

② 誤記を訂正した契約書にまるごと差し替える方法。この場合、契約書上に記載される作成日付を、現実に作成した日付より遡らせて作成する処理をおこぬ場合が出てくることになります。この作成処理自体が違法というわけではありませんが、紛争の種にはなりかねませんので注意してください。

長文になってしまい申し訳ございません。

次回は契約書の条項、文法と用語法と基本編最後です。

厳しい暑さもそろそろ終わります。時間が経過が最近増々早く感じてきてる今日この頃です。

それでは失礼します

行政書士 松田 渉